愛しいお前に


 もうすぐバレンタインだ。街の隅から隅までバレンタインの雰囲気をしている。
 冬弥は歩きながら自分の恋人のことを思い出す。

「プレゼント、どうしようか」

 煌めくな街を眺めいたら、不意にある店に目を止めた。アクセサリーショップだ。
 彰人普段ピアスを付けていたのを思い出して、何かを送ったら喜ぶだろうかっと考え込む。
 ひとまず入ってみようかっと冬弥は足を運んだ。

 店に入ってすぐ店員に声をかけられ、少し自分から先に見てみると伝えたら、店員はゆっくりどうぞっと離れた。
 棚を一見見てると、いろんなタイプのピアスがあって、何を選ぶのか迷っていた。少し別の棚を見ようと思い、ピアス棚の下は指輪が並んでいるのを視線を止め、一つ指輪のことに気になっていた。
 よくその指輪のデザインをみて、両方に歯車をついて、銀色のペア指輪だった。
 少し立ち見していたら、店員も気づいたようで、近く寄ってきてその指輪のことについて説明してくれた。

 その指輪は近年LGBT+のために発売された指輪で、シンプルで、誰でも付けられるようにデザインしたタイプらしい。

「すみません、これ文字刻印できますか」
「もちろんできますよ」
「それじゃ、これください」
「かしこまりました。少々お待ちください」

 店員についてカウンターまで越し、購買人の資料を書きながら、何を刻印するのか考え込む。
 ふっと前に本に見たイタリア語のことを思い出し、希望内容の欄に書き始めた。

***

「彰人、明日予定ある?」
「ん?なぇけど、なんだ?」
「それじゃ、二人でどこかいくか」
「ん」

 約束も交わし、指輪も準備できた。あとは渡すだけ。
 明日のこと考えて、冬弥は思わず緊張してきた。


 二人の付き合いは中学三年の時から、今になっておよそ一年になっている。
 きっかけはBAD DOGSの結成してから一か月、冬弥から告白した。
 彰人は冬弥にとって、救い主ような存在だった。自分をクラシックの沼から引き出し、ストリートミュージックの世界に引き入れ、今になって完全にストリートミュージックのことを心から愛し、最高の相棒で恋人と一緒にRAD WEEKENDを超える最高のライブを目指して、前に進めるようになっていた。
 だから、彰人とずっと一緒にいたい気持ちが膨らんで、思わずライブの終わりに告白してしまった。断れるかと思ったが、まさか彰人も同じ気持ちでいられるなんて、今でも夢を見ているようだ。
 そして、その日、二人が初めて体の関係を持つになっていた。

 しかし、いくら自分がクラシックを逃げたとしても、父親という壁はまだ残っている。
 そして、父親と大喧嘩した日、みんなに押しられ、思い切り父親をライブに誘った。もちろん来るとは思っていないが、まさか本当に来てくれた。
 まだ100%認めてもらっていないが、少しでも理解しようとする父親に感謝の気持ちになっている。

 やっと父親の壁とクラシックの沼から吹っ切れた冬弥は、また彰人と一緒にいられる気がする。父親に二人の関係はどう受け止めるかどうかはまだ考えていないが、二人一緒ならなんでも乗り越える気がしたから、怖くないと思っている。

***

 やっと日が昇れ、バレンタインの日が来た。
 冬弥は早起きして準備をする。指輪をポケットにしまれ、約束の場所に向かう。
少し待ったら、彰人も来た。

「それじゃ、いこうか」
「おう」

 彰人の手を繋ぎ、歩き始めた。ちょっとだけびっくりしたが、彰人も顔を赤いまま繋いてくれた。

 いろんなスポットを回して、パンケーキやチーズケーキを食べたり、ゲームセンターも遊んでいた。
 思いっきり回した後、ストリートを戻って、解散しようと思った彰人を呼び止めた。

「彰人、もう一つ、付き合いたいところがある」
「ん?いいけど、」

 彰人を連れて、あるところに足を止めた。後ろ回って彰人と顔を合わせる。

「彰人、ここ覚えてるか?」
「…ああ、オレとお前、初めて会ったところだな」
「ああ、その時、彰人が俺に声をかけたおかげで、俺はここまで来た。礼を言いたい」
「べ、別に…改まって言う必要ねぇだろう」
「いや、ちゃんと言いたいんだ。ありがとう、彰人」

 彰人は顔を横に向け、真っ赤な顔を隠すようにしたが、冬弥にとっては丸見えだった。
 冬弥は少し息を整え、決心を決めて、彰人を呼んだ。

「彰人、少し目、閉じてくれないか」
「なんだよ。変なこと考えていないだろうな」
「ああ、もちろんだ」

 まだ信じてないようだが、彰人は素直に目を閉じた。
 彰人が目を閉じていることを確認した後、ポケットから指輪の箱を持ち出し、指輪を彰人の右手薬指に挟む。

「もういいよ。目を開けてくれ」
「……え、指輪?」
「ああ、そうだ。彰人と一緒に付けたくて」
「え、ペアだったのか」
「ああ、俺の分、彰人が付けてくれないか」
「……っ」

 指輪の箱にもう一つの指輪があって、それが冬弥の分だったことは、彰人にも理解出来でいる。
 それを持ち出し、同じ冬弥の右手薬指に挟んだ。
 それを見て、嬉しすぎている冬弥は彰人のこと思い切り抱き込んだ。

「彰人、好きだ。愛している」
「……わかったから、もういいだろう」
「いや、足りない。いくら言っても足りない」
「……そうかよ。つーか、右手薬指の意味って、知っているんだろうな」
「もちろんだ。彰人のことこれからも愛していくよ。だから、ずっと俺と一緒にいてくれ」

 彰人は答えてないが、その背中もぎゅっと抱き返しだ。


後書き

「そうだ、彰人、指輪に刻印できるって知っているか」
「知っているけど、なにが?」
「そうか。ふふ、何でもない」
「はあ?何だよ。言えよ」
「いや、言わない」
「何でだよ!?言えって!」
「ふふ、言わない」
「はあ!?」

 彰人がわけわからない顔をして、自分の指に挟んだ指輪を外して、中の覗いてみた。

「T…i… a…m…o…?どういう意味だ?」
「さあ、知らないな」
「はあ!?お前が指定しただろうが!」
「知っても言わないからな」
「おい!」

Ti amoー
愛してるー
我が愛しい彰人。ずっとお前のために捧げるよ。